学部 - 東京学芸大学社会学研究室
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1.社会学研究室での学び

 社会学研究室では4名の教員が、社会学という共通のディシプリン(研究方法論)にもとづきつつ、それぞれの専門領域について研究を深めています。各教室の垣根を越えて各々の専門性を活かすことが、みなさんの問題関心について、より的確な対応を図ることになると考え、このような教育体制をとっています。 社会学研究室での学びには、次のようなタイプがあります。
  • 日本や世界で生じている現代的な社会現象や深刻な社会問題に注目し、社会学の理論や方法にもとづいて、それらが生じてくるプロセスの探求や、それらが生じてくる要因の考察を行うタイプ。
  • 学校教育や生涯学習、社会福祉などの現場で生じている現象や問題に密着し、そこでの実践的な課題を検討していくタイプ
  • 社会や人間のあり方を見つめ、古典などを読み解きながら、じっくりと自らの考えを深めていくタイプ   
  • 社会学の理論を深く学び、社会学理論に関する新しい解釈や展開を探っていくタイプ

2.社会学研究室で学ぶ学生とは

 下記のいずれかに所属している学生です。
  • 「社会科」の社会学分野 :「社会科」は「初等教育教員養成課程(A類)社会選修」、「中等教育教員養成課程(B類)社会専攻」をさします。

3.社会学研究室の教員とは

 社会学を共通のベースとする下記の4名が、相互に連携しつつ、それぞれの専門領域をいかして、ゼミや卒論作成の指導、学習や進路についての相談などにあたります。
  • 「社会科」の森田数実特任教授、浅野智彦教授、山口恵子准教授、苫米地伸教授

4.履修のアウトライン

(1)社会学との出会い

 多くの人は、1年次に「社会学概論」を履修して、初めて社会学の世界に触れることになります。その後、「社会科」では1年後期に2年次からの所属分野の希望を取ります。それまでに、それぞれの専攻にある他の分野についても広く学び、自分が深く学びたい分野はどこかということを明確にすることが必要です。

(2)「基礎ゼミ」で社会学の考え方を習得する

 2年春期から、社会学の考え方や、社会学が対象としている主な領域に関する基礎的なことについて学ぶ「基礎ゼミ」[「社会学基礎演習」「社会学入門演習」]が開設されます。多くの人は「基礎ゼミ」で初めて専門的な「ゼミ」を体験します。「ゼミ」では、毎回、履修生が交代で報告者を担当します。報告者となった人は、テキストの担当部分を要約するとともに、その内容に関連する文献や事例を調べてきたり、自分の意見をまとめたりして、配布用のレジュメを作成し、報告します。報告をふまえて、出席者全員でディスカッションを行います。このような「ゼミ」は、みなさんが積極的に参加することによって、テキストの理解を深めるばかりでなく、自らの意見や考えを明確にしたり、新しいアイデアを生み出したりする上でとても有効な場になります。

(3)多彩な専門科目を履修し、自分の問題意識を明確にしていく

 社会学分野もしくは社会生活分野に所属することができたみなさんは、3年次の4月に、5名の教員が担当するゼミから一つのゼミを選択します。この3年次のゼミ[「社会学演習I・II」]は、2年次の基礎ゼミと異なり、専門領域を深く学んでいく場になります。そこで、自分の学びに適したゼミを選べるよう、次にあげる専門科目を幅広く履修し、自分の問題関心を展開していけるゼミはどこかということを明確にしておくことが必要です。

専門科目(旧カリ)一覧

開講年 春学期(前期) 秋学期(後期)
毎年 地域を探る社会調査Ⅰ・Ⅱ[山口・浅野]
都市社会学[山口]
偶数年 現代社会と世代[浅野] コミュニケーション的行為の理論[森田]
家族社会学[苫米地]
奇数年 社会学史[森田] ジェンダーの社会学[苫米地]
アイデンティティと社会[浅野]
   


(4)4つの専門ゼミが連携した教育体制で学びを深め、卒業論文を作成する

 上述したように、3年次は、社会学の中の専門領域にもとづく少人数のゼミに分かれ、より専門的な文献に挑戦していくことになります。ゼミでのディスカッションを通じて、自分が研究したい領域について理解を深めるとともに、卒業論文[「卒業研究」の単位となります。時間割にはないので履修登録を忘れないように注意すること]の作成に取りかかります。4年次の定められた期日までに卒業論文を提出し、社会学研究室全体での卒業論文発表会で発表します。

【参考】2017年度提出卒業論文タイトルの一部

「女性の姿は変わらないのか:推理小説の中のジェンダーを見る」
「Instagramの利用と自己開示度/自己呈示・自己肯定感との関連性:大学生を対象としたアンケート調査より」
「フットボールの行方:サッカーとアメリカンフットボールの発展から考えるスポーツマネジメント」
「介護の今までとこれから:介護を受けている人の語りから」
「大学生の恋愛と結婚について」
「子どもは迷惑ですか?:近所のホンネから見えてくるもの」
「魅了するパチンコと熱中する日本人:パチンコ第4期ブームに向けて」
「安定移行にある若者の『地元志向』に関する考察:静岡県出身Uターン就職者への調査から」
「ケッコンだけが人生か:結婚の価値とその代案の調査から考える」
「中学校運動部活動顧問の指導の在り方に関する研究:若手中学校教員へのインタビュー調査から」
「ハイパー・メリトクラシー社会における学校教育の変質と言語活動能力の育成」
「オタクによる集団形成と集団としての価値:AKB48グループのオタクコミュニティを事例に」
「『死のタブー化』は進行しているのか」
「先天性色覚異常の受容と自己呈示」
「ソーシャルメディアが友人関係に及ぼす影響について」
「子の自尊感情に影響を与える親の養育態度に関する考察:大学生によって回顧される親の養育態度から」
「生徒の、生徒による、生徒のための部活動デザイン」
「東京ディズニー・リゾートはなぜ人々に選ばれ続けるのか:ゲストへの調査から」
「東京に住む大学生の外食における食生活と価値観」
「教育学部生における職業に関する価値観と職業社会化」
「よりよい居場所を求めて:親子関係は若者の住居選択に何を及ぼすのか」
「終末期医療における患者の自己決定と関係性」
「腐女子の『内輪』を支える規範とふるまい」
「事業者型シェアハウスに関する研究:「同居=家族規範」と親密性に着目して」
「『毒親』語り」
「日本の教員の社会的地位:政策と教員へのまなざし」

5.研究室行事

 社会学研究室のメンバーの交流を深める場として、研究室に所属する学生・教員全体で次の行事を実施します。
  • 新入生歓迎会(4月)・・・例年、学内で実施しています。
  • 研究室合宿(6月~7月)・・・例年、関東近郊で1泊で実施しています。
  • 卒業論文発表会(1月~2月)...例年、学内で実施しています。

6.学生控室

 社会学を学ぶ学生の居場所となる「学生控室」という部屋を開放しています。「学生控室」は、専攻や学年を越えてさまざまな学習会や交流が生まれる場となっています。

7.卒業後の進路

 社会学研究室の卒業生は、都内外の小学校、中学校、高等学校の教員、公務員、企業、自由業など幅広い分野で活躍しています。本学や他大学の大学院への進学者もいます。